■ 保育所の動向と試験関連

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初版 2003/8/20


■ 保育所の利用者ニーズ


◆ 保育所と時代と背景
昭和22年に児童福祉法が制定され、「健全な保育環境を整える」ために制度化されてきたのが保育所であり、現在に至るまで保育所は社会的に必要な施設である。

制定当時は、保育所への需要と受入れのバランスは短期的に解消されていました。その典型例が団地や公営住宅等に併設された保育所でした。

1970年代に入ると、社会経済の発展により序々に女性が仕事につく機会が増え、女性の就労時間や通勤時間の長時間化により、制度化された保育時間や保育内容では対応出来ない場合もありました。

1980年代は、女性の社会進出も盛んになり、保育所の保育時間(朝8時〜午後5時)では対応出来ない件数がだんだんと増えはじめ、「延長保育」の必要性が高まってきました。
ベビーホテルなどが社会問題として取り上げれれるようになり、保育環境の整備を社会全体で支援していく動きが高まることになった。
当時は、保育時間外については叔父や叔母のサポート、近所の付き合いや血縁関係の相互補助などで女性の就労条件を補う形が大半でした。

1990年代は、核家族化も進み、近所の付き合いも相互補助の関係に至ることも少なくなり、無認可保育所などへの需要が高まって、同95年に緊急保育対策事等5ヵ年事業「エンゼルプラン」が支援施策として開始されました。「新エンゼルプラン」

2000年代は、「仕事と保育の両立支援」と、保護者の出産、急病、老人介護、冠婚葬祭等に対する「一時保育」のニーズも高まり、これを「保育ニーズの多様化」といいます。また、都市規模が大きい地域ほど保育ニーズの多様化があるようです。

都市部は0歳児の入所数が地方に比べて多く、女性の社会進出や核家族化を反映した結果となっており、地方では保護者が自ら保育していく傾向があります。
また、保護者の保育所の選択基準は、全体的には自宅や勤務地からの距離が選択基準になり、指定都市や都市区にあっては「保育時間」、町が小さくなると「保育所の評判」などが影響されるようです。

いづれにせよ、地域ごとの要求に合わせた保育所が必要とされています。

平成14年度の秋から厚生労働省により保育所の「第三者評価」が実施されました。情報開示や利用者保護の為でもありますが、第三者評価を受けることで保育サービスのあり方も変化していくのではないでしょうか。
また、東京都は厚生労働省の最低認可基準を緩和した、都独自の「認証保育所」を実施し、大都市のニーズに対応する試みも始まっています。

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■ 新エンゼルプランとは?


◆ 試験及び建築関連の抜粋
新エンゼルプランは、厚生・労働建設・大蔵・文部・自治の大臣によって進められている少子化対策で、「今後の子育て支援のための施策」を前提に、「保育サービスの充実」や「仕事と子育ての両立の為の雇用環境の整備」などが主な内容です。

なぜ少子化しているのに保育所が必要か?は、書きたいのですが主題の製図試験を優先させます。

建築の関連事項は、
1、小中学校の余裕教室、行政庁舎等を活用した保育所設置
2、商店街の空き店舗への保育所等の設置に関する財政支援 ・・・・ などがあります。

1、について少し詳しく述べます。
小中学校の余裕教室を活用した保育所整備は全国で11箇所設置されていて、余剰教室や体育館のピロティを利用し、避難経路の見直しや、建築設備、管理形態に配慮しながら保育所が併設されています。
その他に行政庁舎、公営住宅、公民館などの公共施設を利用した保育所が増えてきています。

このような既設建築物の改修が必要な試験課題は、昭和61年の「集会施設をもつ郷土資料館」で出題されています。まあ適切なゾーニングと基礎力が備わっていれば大丈夫です、改修の計画が出題されても焦らないように、いずれ1課題UPします。

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■ 第3者評価とは?


◆ 試験及び建築関連の抜粋
「第三者評価」は、企業や行政・一部の病院や大学で行われていましたが、厚生労働省によって保育所でも実施されるようになりました。

保育所の利用者と保育所の中間にあたる、第三者評価機関が評価を行うもので、評価結果はネットなどで情報公開されます。目的は、保育所の質の向上と、利用者が福祉サービスの内容を把握できるようにすることです。

建築の関連事項は、「第三者評価チェックリスト」の中から抜粋します。
保育環境
  (12)子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。
採光に配慮している。
換気に配慮している。
各室に湿度計などがあり、温度・湿度に配慮している。
手洗い場、トイレは、保育中も時折り清掃し、不快なにおいがないようにしている。
寝具の消毒や乾燥を定期的に行っている。
屋外の砂場や遊具の衛生面に配慮している。
保育内容
(22)乳児保育のための環境が整備され、保育の内容や方法に配慮がみられる。
一人一人の生活リズムに合わせて睡眠をとることができるように、静かな空間が確保されている。
外気に触れたり、戸外遊びを行う機会を設けている。
(23)長時間にわたる保育のための環境が整備され、保育内容や方法に配慮がみられる。
長時間保育を受ける子どもに夕食や軽食が提供されている。
異年齢の子供同士で遊べるように配慮されている。
地域の子育て支援
(7)育児相談など地域の子育て家庭を対象とする子育て支援のための取り組みを行っている。
地域の子育て家庭の親子が定期的に集まる機会を設けている。
地域の子育て家庭の親子と、園に通っている親子が交流する機会を設けている。
(8)一時保育は、一人一人の子どもの心身の状態を考慮し、通常保育との関連を配慮しながら行っている。
一時保育のための保育室などの確保に配慮している。

この他に地域との交流の連携などが評価基準に入っていますが、保育所という性格上、日常的に交流が行われる事はありません。交流施設が複合される場合は完全な動線分離を考える事になると思います。

第三者の評価チェックリストにより、保育所の計画の考え方が少し見えて来たと思います。保育所計画のセオリーとして解釈してよいと思います。しっかり読んでおきましょう。

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