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Home > 普遍のテクニック エスキス/Page3 エスキスの開始の前に。


エスキス ■ エスキスに必要な判断力。
■ マス割配置の限界・JAEICの標準解答例から学ぶ。


はじめに
エスキスの話なので、挿絵を挿入しながら説明したほうが解りやすそうですが、思考の内容をよく理解しないまま勉強を進めてしまいがちなので、文章形式での説明を選択しました。

長い文章となりますが、受験生にとって有意義なことが発見出来ると良いと思っております。

自分の持っている判断力
試験課題が聞いているのは「貴方は、課題の要求事項を見て、利用者や管理者に対してどう対処しますか?」というこです。このことは制限時間5時間30分の全域を通して考えながら進めていきます。

■ 「そもそも、どのような計画が普通なのか」が解らないので適切な計画なんて出来ません?
勉強段階の初期では、このような行きづまりが生じることがあります。しかし、実際は受験生のほぼ全員が、「何が適切か?」ということを受験勉強をする以前からすでに素養として持っています。計画の原則は、「単純」な視点に立ってされるべきもので、一般常識から特化した複雑な判断は試験では行なわれていません。
そして、「普通の計画」というものを探しても見つからない事を理解して下さい。あえて言うならば、「普通の計画」とは、館の利用者や管理者の立場にたって、利便性や機能性が損なわれていない計画と解釈して頂いて結構です。

■ 利便性や機能性をむずかしく考えないようにする。
利便性や機能性が持っている共通点は、「単純であること」です。また、動線分離も動線を「単純化」する作業です。これは、実務の計画でも一級建築士の試験でも同じことで、こじつけ的な理由も持った計画では本来の要求事項から外れたものになってしまいます。

■ 計画は難しいと思いますが?
計画全体が難しいわけではありません。ゾーニングは「単純明快」でよく、考えを曲げることなく実際に計画に反映させる作業が難しいのです。所要室の理想的な相互関係は「単純明快」に、そして、その考えを基に「所要室を配置計画する」エスキス作業は根気と集中力が必要ということです。受験者の大半は、この事とは逆に要求事項を難しくとらえ、所要室の配置を単純なマス割り配置に頼りがちな傾向にあります。

■ 自分の行なった計画に対して「この辺がマズイなと思うところ」は、大抵の場合、本当にマズイ箇所です。
製図課題は単独プレーなので、「適切な判断」は自分にしか問うことは出来ません。「ランクT」の図面を書くならば、第三者的な目を持って計画することも効果的です。
  1. 自分で計画(エスキス)のマズイと思う箇所はあるか?
  2. 他人が見て、第一声に指摘する箇所があると思うか?
  3. 計画にストーリーを持っているか?
    たとえば、所要室の配置が必然性を持っているかどうかです。(マス割で余った箇所に配置しなければ所要室が納まらないとかの理由でなく。)
  4. 上記1〜3に該当しなかった場合は、添削等で再度、自分の判断のズレを修正していきます。
■ 100%自分の判断でエスキス。
練習課題をやる場合に、他の解答例を参考にしながらやっていたのでは次のステップは見えてきません。前項でも同じような記述をしていますが、計画に必要な「判断力」は、勉強していなくても皆さんは持っています。
ただ、「ある判断が正しい?」かどうかの自信(実績)が無いために消極的になってしまい、過去の事例に頼ってしまうと思われます。しかし、自分の意志で図面を書いた者でないと添削を生かすことは出来ませんし、判断のズレも修正することもできません。

■ 試験場でも100%
試験場では完全に100%自分の判断に頼ることとなります。「計画」は、要求事項が少し違っているだけで、解答がずいぶん違ってくるような特有の性格を持っています。たとえ本試験と類似した課題をやった経験があったにせよ、過去の類似問題をあてはめて考えようとする程、合格からは遠くなってしまいます。試験に強くなりたいのであれば、常に練習課題を「自分の力」でやって行く以外にはありません。

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マス割的配置の限界を知っておく。
■ 最初から最後までマス割配置優先ですか?
製図課題は5時間30分で出来る範囲のものとして出題されます。ですから、要求事項に合わせて所要室をマス割配置していくとある程度のエスキスは出来るようになっています。しかし、マス割配置で余ったスペースに対して、残りの所要室をうまくはめ込もうとしても計画としては成り立ちません。

■ 本試験での計画。
例年JAEICから試験課題の標準解答例が発表されていますが、マス割的な手法だけでは歯がたたない平面構成となっていることを理解して下さい。設定された建物の容積(要求事項)のなかで適切な計画とするためには、マス割やマスの1/2を利用した計画ではなく、マス割りを外した計画が必要になります。

■ 試験に合格すれば勝ち?
このような考え方に偏ってしまうと、万年受験生になってしまう事もあります。やはり、「吹き抜けの空間は、このように計画すれば、利用者にとって有意義である」とか「この要求事項はこのように配置すれば楽しく利用出来るのでは?」というようなことが多少なりとも出来ないといけません。このような主観的なことについて直接的な採点基準はありませんが、試験課題自体が「好ましい計画」を基に作成されているわけですから、「主観的」なことも重要なヒントとなり、適切な計画のスピードに影響することも理解しておきます。

■ 計画のストーリーを曲げないことを第一優先に。
無論、実務の計画でも試験課題においても、昔から行なわれて来たマス割手法は今でも有効です。しかし、この手法は受験生にとって簡単で魅力的なために、マス割手法に偏り過ぎる傾向にあります。一つの課題の中で、マス割手法に適した部分と、計画のストーリーを持って進む部分の2つの手法が必要と考えるのが良いでしょう。

例えば、「私は、大ホールの関連性から、ココにトイレを配置すべきなので計画を工夫した。」とか、「利用者動線の流れとしてこの所要室は、ココにあるべきだから配置検討をもう少し工夫しよう。」とかの考えをを曲げないことで、「マス割依存」から自然にのがれることが出来るようになります。

JAEICの標準解答例から学ぶ。
■ 標準解答例は何が標準なのですか?
標準的というのは、計画のセオリーであったり、一般的な常識をいいます。あくまでも大枠の範囲内で「一般的なプランナーならこう対応するであろう」ということです。
室の形(縦横比)ひとつとっても、標準的な範囲というものは概念的には存在しますが、数値比として決まっているわけではありません。大切なのは、室の縦横比を覚えるのではなく、室の用途から差しさわりのない縦横比を決めたり、トイレのブロックがたとえ扁平であっても機能上差し支えのない形にできる応用力なのです。

■ 標準解答例から計画のストーリーを読む。
計画の初心者は、計画の過程で行った「判断」の自信はありません。これは、勉強期間中に何回でもJAEICの標準解答を見なおして、計画のストーリーなどを読み取って行くことで解消できると思います。( 「率直な判断で十分だ」 ということが解ります。)
また、標準解答例は、計画の勉強を通してバイブル性の高いものです。自分の実力が上がっていくステップごとに、課題本文と照らし合わせながら計画内容を研究して下さい。

■ もし判断に迷ったら?
計画の初心者にとっておきの判断方法は、「まずは無難」という考え方です。製図の書込みなどの小さな事から配置に関することまで判断に迷ったら、「これならば無難であろう」という考えを入れていくとずいぶんと楽になるはずです。

■ 試験課題は難しくなっている?
試験課題は年々難しくなっていると聞きますが、現状では課題自体は特に難しくなっている感じは受けません。計画の基礎的な実力を試すというスタイルが変わらない限り、難しさは年度毎の誤差はあれど同じであるような気がします。(ただし、簡単ではない。)
合格者の数をもっと減らすべき?というような意見もあるようなので、今後は計画のエキスパートしか合格しない程難しくなるかも知れませんが、その時はその時でしょう。

■ 所要時間は後回しで良い。
勉強の最初の段階で、5時間30分の短さを身をもって知っておくことは必要ですが、計画が十分に出来ない段階では気にしないほうが良いでしょう。所要時間内での図面完成にこだわっていては、計画の力はつきません。

製図の勉強は、評価が「ランクU」までの練習を延々と続けることもできる面を持っています。やはり、基礎的な事が不足していると練習課題に追われるだけで、毎回何かしっくり来ない図面で終わってしまいます。最低でも1つの課題は時間をかけ、自分自身の考えのみで、合格レベルと思われる計画を考えてみて下さい。

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